群馬県桐生市にある遊園地の売店でアルバイトをしている、高校三年生の梅田ココア(希代彩)。学校では成績優秀なココアだが、家庭は貧しい。共に暮らすギャンブル狂の父・シゲル(川瀬陽太)と、元漫才師でニートの兄・トキオ(前原滉)の犠牲者だと感じながら生活しているため、自分の将来に希望が見出せないでいる。
そんなココアには秘密があった。学校とバイトの合間に、あるビデオに出演しているのだ。そのビデオとは「クラッシュビデオ※」と呼ばれ、ネット上などで一部の愛好家に楽しまれている動画である。
※クラッシュビデオ…小動物や植物、食べ物など、形あるものが女性に踏み潰される(破壊される)様を見て性的欲求を満たす目的で作られた動画
当初は、兄の元相方であるカズオ(猪野広樹)から無理やり頼みこまれて出演していたが、次第に本人も踏み潰す感触に快感を覚え乗り気になってくる。
ある時ココアは、大学に特待生/奨学金という制度があることを知り一念発起して進学を目指すことに。数少ない友人のサクラ(芋生悠)は大学への進学を希望、もう一人の友人アイコ(小室ゆら)は年上の彼氏と付き合っている中で妊娠が判明、母親になるつもりだ。それぞれの進路、将来がある。
ココアは二人と過ごしていくうちに自らの将来に希望を見出していく。
そんな中、クラッシュビデオの出演が学校内で噂になってしまう。友人たちとも疎遠に。
一方、カズオはビデオ販売の件で横山(阿部亮平)とトラブルになる。
絶望の中、交錯するココアとカズオ。ココアを心配する友人たち。ココアの決意はいかに。
あの頃感じたとても幸せな絶望感と
複雑な期待感が自分の中の嘘じゃないところから湧き上がってきます。
ココアはお兄さん似の男に振り回されて、
お父さん似の男を愛して、
そんなに好きじゃない男とすごく幸せに暮らしていくんだろうな。
相澤義和
(写真家)『JKエレジー』 は「ひきこもりエレジー」でもあり、
さらに「おじさんエレジー」でもあり、
「半グレエレジー」でもあり、
そこでは様々な当事者性が描かれる。
磯部涼
(ライター)映画の中で女子高生は無敵だ。
しかしココアが女子高生でいられる時間は残りわずか。
間もなく卒業し、なんのスキルもなく社会に放り出される。
そしてもう自分は無敵でもなんでもないことに気づくだろう。
女の子にとって本当の物語はいつも、そこからはじまる。
そして男の子は何歳になっても、女子高生に救済される日を待つ。
山内マリコ
(作家)どうしようもない親父にクソ兄貴。
でもなんでか憎めないのはやたらリアルでしんどい社会が見え隠れするからか?
とりあえずお姉さんは、頑張れココア!!と何度も叫んだよ
ファンタジスタさくらだ
(タレント、デザイナー)ココアには幸せになってほしい……
けど、またひどい目にあっちゃうんだろうな……。
だけど、あの強さと優しさで乗り越えて、きっと良い女になると思う。
いつかココアに出逢えたら、美味しいお寿司を奢ってあげたい。
水島精二
(アニメーション監督)昭和も平成も令和も、日本列島のあちこちではきっとココアのような女の子が
貧乏な青春に睨みを利かせているにちがいない。
そしてあのしかめっ面は、一瞬の笑顔を輝かせるための彼女なりの戦い方だったのだと、
ラストカットで気付かされました。
向井康介
(脚本家)この映画には普遍的な哀しみと如何ともし難い現実が容赦なく刻まれている。
しかしこの映画は美しく、見た者に希望を与えてくれる。
前から言ってますけどこういう映画が見たかったんです。
佐藤佐吉
(映画監督・脚本家)ラストの桐生八木節が圧巻だ。一度はバラけた仲間が文字通り「言葉の外」「法の外」で繋がる。
「言葉の自動機械」と「法の奴隷」に堕した「損得人間」には「愛と正しさ」が生きられない。
「社会が荒野」になるほど「仲間の真実」が浮かび上がる。ワクワクする時代が始まった。
宮台真司
(社会学者)ただの破壊じゃない。
彼女は歪んだ現実を、ぶっ叩き直している
逃げたって世界は変わらないから、前を向くしかないんだ
根矢涼香
(女優)『JKエレジー』は、一人の女の子が貧しい家庭環境の中でもがき、友情を通して力強く生き抜いていくさまが瑞々しく描かれた、
エッジィな新しい映画体験だ。希代彩は映画界にとって輝かしい発見であり、一目置かれるべき女優である。
Paul Rachman
(スラムダンス映画祭 共同創設者)